どうしてマクドナルドのハンバーガーは腐らないのか?

ネットで定期的に流れてくるこの話題~「マクドナルドのハンバーガーを○年保管しても腐らない!」~多くの場合、ファストフードは保存料などの食品添加物まみれだから腐らない、そして食べるべきではないという論調に流れてしまいます。本当にマクドナルドのハンバーガーは保存料がたっぷりだから腐らないのでしょうか?

アメリカで人気の食に関するブログSerious EatsのJ. KENJI LÓPEZ-ALT氏が科学的に公平な条件でどうしてマクドナルドのハンバーガーが腐らなかったのか?その条件で他のハンバーガーはどうなるのか?をテストしています。テストをするために用意したハンバーガーは全部で8種類;

パテ バンズ 包み紙
1 マクドナルド マクドナルド 外して開放保管
2 手作り(オールナチュラルビーフ):マクドナルドのハンバーガーパテと同じサイズ スーパーで購入 開放保管
3 手作り(オールナチュラルビーフ) マクドナルド 開放保管
4 マクドナルド スーパーで購入 開放保管
5 マクドナルド マクドナルド 包み紙に包んだまま
6 マクドナルド(塩無しで調理したもの) マクドナルド 外して開放保管
7 マクドナルドクォーターパウンダー マクドナルド 外して開放保管
8 手作り(オールナチュラルビーフ):マクドナルドのクォーターパウンダーパテと同じサイズ スーパーで購入 開放保管

これらを4週間保管してどうなるかを観察しました。

結果

サンプル1~6はいずれも腐ったり、カビが生えたりしませんでした。ですからマクドナルドであろうが、手作りであろうが関係なく、腐ったりカビが生えたりしないのです。そして塩無しで調理したサンプル6も大丈夫でしたから、「塩分が高いから腐らない」ということもなさそうです。

1ヶ月保管後のハンバーガー。左からサンプル1,2,3,4の順 (photo from Serious Eats)

サンプル7(マクドナルドクォーターパウンダー)と8(手作りハンバーガーでクォーターパウンダーと同じ大きさにしたもの)はいずれもカビが生えました。

左からサンプル7、8の順。パテの中央にカビが生えてきています。

さて、これらの結果から

  • マクドナルドのレギュラーハンバーガーとパテ・バンズが同じ大きさであれば、マクドナルドでも手作りでも腐ったり、カビが生えたりしない
  • マクドナルドのクォーターパウンダーとパテ・バンズが同じ大きさであれば、マクドナルドでも手作りでもカビが生えてくる

ということです。ではどうしてこのような結果になったのでしょうか?

水分が鍵

答えは簡単で、レギュラーハンバーガーとパテ・バンズが同じサイズであれば、カビが生えたり腐ったりする前に乾燥してしまうのです。そしてそれより少し大きなクォーターパウンダーのサイズの場合、レギュラーハンバーガーよりも乾燥が遅く乾燥しきる前にカビが生えてしまうのです。

重量変化の93%は保管後3日で水分がほとんど蒸発することにより起こっている

蒸発できる水分が蒸発しきってしまう7日の間に腐ったり、カビが生えたりしなければ、その後大きな変化を示すことはないでしょう。

本当に水分が低くなったからカビが生えなかったの?

と思われる方もいらっしゃるでしょう。マクドナルドと手作りのハンバーガー(サンプル1と2)をジップロックのような保管袋で保管すると、見事に(?)カビが生えます。

ジップロックで保管するとマクドナルドのハンバーガーにカビが生えます

ですから保存料や添加物がたっぷり入っている訳ではなく、単純にカビが生える前に水分が蒸発して、ハンバーガーの水分がカビの生えることができる限界を超えてしまったと言うだけなのです。

どのくらい乾燥したらカビが生えないの?

それではどのくらいの水分になったらカビが生えなくなるのでしょうか?見た目ではすごい乾燥しているようなせんべいにカビが生えたり、見た目では柔らかく水分もありそうなジャムやドライフルーツにカビがあまり生えなかったりします。食品の中の水には2種類あって、食品とあまり強く結合しておらず食品の中で比較的自由に動くことができ微生物が利用できる水分(自由水)と、食品の成分と強く結合していて、自由に動いたり微生物が利用したりできない水分(結合水)に分かれています。カビが生えるためには水分が必要ですが、カビが利用できるのは自由水。ですから食品の中にどのくらい自由水があるかでカビが生えるかどうかが決まってくるのです。食品の全水分中の自由水の割合は水分活性(Water Activity / Aw)と言われ、この値が0.6を下回ると一般的にカビが生えないと言われています。

水分と水分活性
食品の水分活性が低いと微生物は増殖できなくなり、水分活性が0.5を下回るとほとんど全ての微生物は増殖できません。

ハンバーガーパテをフリーズドライすると?

さて、オレゴンフリーズドライはこれまでNASAやアメリカ軍に様々な食品を提供してきました。

その中の1つにハンバーガーパテのフリーズドライという製品があります。

フリーズドライ・ハンバーグパテ
フリーズドライ・ハンバーグパテ

こちらの製品は水分活性が0.2未満で、水分を吸わないように保管すればほぼ半永久的に腐ったりかびたりすることはありません。もちろんお湯を注いで30秒ほどでできたてのハンバーガーパテになります。

 

 

シェアする

Top